2022年12月14日
生前整理と遺品整理はどちらも個人の持ち物を片付けることですが、その違いが分からない、また混同されているといった方も少なくありません。
そこで今記事では遺品整理と生前整理の違いと共に、その内容についても詳しくご紹介します。
一般社団法人 認定遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(認定 第 IS 01336号)
第二種電気工事士 愛知県知事許可 (第147439号)
1997年7月にメイドマンの運営会社、株式会社プラウドエーに入社。
2011年に認定遺品整理士の資格を取得。
現在、プラウドエーにて遺品・生前整理事業部 部長として職務にあたる。
2022年7月にて入社25年を迎える。
遺品整理と生前整理は何が違うのか
遺品整理と生前整理だけでなく、実家の片付けや不用品回収も混同されやすいもののひとつです。
そこでまずここでは大きなくくりでは似ている遺品整理と生前整理についてその違いやそれぞれどういったことをするのかについてご紹介していきます。
遺品整理とは
遺品整理とは、亡くなった家族や親族の荷物や持ち物、そして相続の遺産を整理することです。
相続の対象となる金銭価値のあるものはもちろん、持ち家であれば建物や土地の手続き、賃貸であれば原状復帰の後大家や管理会社に引き渡すまで全てを行います。
基本的には相続人が中心となり、家族が行います。
遺品整理を始めるタイミングについては決まりはありません。
ただ、賃貸住宅の場合は誰も住んでいないとしても家賃が請求されてしまいますので、葬儀が終わったタイミングで取りかかる方がいいでしょう。
一方持ち家の場合は葬儀後四十九日の法要を終えたタイミングで、形見分けも兼ねて取りかかるという方がほとんどです。
悲しみが癒えないうちに遺品整理をするのは精神的にも負担が大きいため、可能であれば心の整理がついてからの整理がおすすめです。
遺品整理では遺産相続の対象となる財産の整理だけではなく、故人が生活で使っていたものや身の回りの品全てを整理しなければなりません。
相続の手続きは相続人の数によっては手続きに時間がかかることも多いため、相続に関わる書類や金品の整理は急ぐ必要があります。
また食品といった放置できないもの、故人が契約していた保険や定期購入の商品については解約の手続きも必要です。
そのため単に遺品を整理するだけでなく不要なものと必要なものに分け、不要なものは処分しなければならないため遺品整理にはかなりの時間と手間がかかります。
特に不用品については住んでいる地域ごとに回収方法が違うことに加え、簡単に処分ができない現状があります。
また遠方に住んでいる相続人にとっては、遺品整理や遺品の管理は大きな負担です。
自分の目で確認しながらの作業は確実ですが、時間がかかるだけでなく心身に大きな負担となるデメリットがあります。
費用はかかりますが業者に依頼して整理してもらう方法もあります。
遺品整理の詳しい作業内容については、こちらのコラムもぜひ参考にしてみてください。
生前整理とは
生前整理とは、生きているうちに身の回りの整理や相続財産の手続きをしておくことです。
よく似た言葉に「終活」というものがありますが、生前整理は終活のうちのひとつです。
遺品整理が故人の家族や相続人が行うのと違い、生前整理は自分自身でするという違いがあります。
タイミングとしては誕生日といった自身の節目、引っ越し、入院や老人ホームへの入居などがあります。
身の回りのものを整理し荷物を減らすことも目的のひとつですが、事故や病気といった思わぬ事態に備えて、保険や現金を家族がすぐに使えるようにしておくことも生前整理の目的です。
また生前に遺産や遺品を誰に渡すかを自分自身で決められるため、自分が亡くなった後に家族に遺品整理をさせる負担をかけずに済むメリットがあります。
自分自身で荷物の整理ができるため、家族に自分の荷物の内容を知られずに済みますが、年齢を重ねて増えた荷物の整理は容易ではありません。
また高齢になれば思うように体が動かないことも多く、生前整理を思い立ってもなかなか作業が進まないといったことも多いのがデメリットといえます。
生前整理を考える人が増えていることもあり、対応してくれる業者も増えています。
詳しい作業や進め方についてはこちらのコラムもぜひ参考にしてみてください。
遺品整理と生前整理の違い
遺品整理 | 生前整理 | |
---|---|---|
時期 | 亡くなった後 | 亡くなる前、本人が元気なうち |
する人 | 遺族・相続人 | 本人や家族 |
特徴 | ・故人が亡くなっているため、処分するのに時間がかかり、遺族に負担がかかる ・整理を誰がするか、財産をどのように分けるかなど、遺族の間でトラブルになる可能性がある |
・本人が整理するので、不要なものを予め処分でき、家族の負担が少なくなる ・財産の整理ができ、相続のトラブルを減らせる |
遺品整理と生前整理は行うタイミングが違うことに加えて、必要性の高さに違いがあります。
故人の遺品や身の回りの荷物はもう故人に使われることはありませんが、そのままにしておくことは簡単ではありません。
一方生前整理は自分でするため実施するタイミングを選ぶことができますが、必ずしなければならないというわけではありません。
そのため遺品整理の方が重要度の高い整理ということができます。
ただし生前整理をしておけば残された家族の負担を軽減することができるといったメリットがあることも覚えておきましょう。
不用品回収とは
不用品回収とは、不用品を業者に依頼して回収してもらうことをいいます。
一般的には故障した家電や店舗に回収を依頼する必要のある古タイヤやバッテリーといったものを回収する業者のことです。
不用品を処分する必要が出てきた場合に、業者に回収を依頼するかもしくは業者の集積場に持ち込んで処分してもらいます。
遺品整理の際には、金銭的価値のないいわゆる不用品が多く出ます。
地域ごとに分別が必要となったり、回収が不可のものもあったりするため手間がかかりますが、不用品回収であれば全て持って帰ってもらえることが大きなメリットといえます。
家具といった大型の不用品も一度に処分できることもメリットといえるでしょう。
ただ、不用品回収の場合はその場にある全てのものが処分対象となります。
リサイクル可能なものやまだ使えるものが混じっていたとしても、不用品回収では分別はしません。
あくまでも処分する「物」としての扱いなので、故人の使っていたものだからといって丁重に扱ってもらえるわけではないということを理解しておきましょう。
不用品回収業者の中には、中古品として使える物は買取をしたり、遺品整理を実施したりしている業者もいますが基本的にはゴミの処分をしてくれる業者と割り切って利用する必要があります。
遺品整理と不用品回収の違い
《遺品整理と不用品回収の業者比較》
遺品整理業者 | 不用品回収業者 | |
---|---|---|
目的 | 遺品の整理と回収 | 不用品の一括引き取り |
特徴 | 全ての荷物を遺品として扱うので作業が丁寧 | 不用品=ゴミとして処分するので作業が雑になる場合がある 費用は安く抑えられる |
不用品の回収・処分 | ◯ | ◯ |
遺品の分別・仕分け作業 | ◯ | ✕ |
遺品の供養 | ◯ | ✕ |
遺品の買取りサービス | ◯ | ✕ |
ハウスクリーニング | ◯ | ✕ |
車両の処分・譲渡の取次 | ◯ | ✕ |
不動産売買の取次 | ◯ | ✕ |
建物解体の取次 | ◯ | ✕ |
形見品の配送取次 | ◯ | ✕ |
遺品整理と不用品回収は、処分する物の取り扱いに大きな違いがあります。
遺品整理はどんな不要なものであっても全ての荷物が大切な故人の持ち物です。
そのため遺品整理では遺族の気持ちが最優先され例えそれが紙一枚でも粗雑には扱いません。
一方不用品回収は不用品を一括して回収します。
遺品整理も行う業者もいますが、基本的にはゴミを処分することがメインなので粗雑に遺品が扱われていると感じてしまうこともあるかもしれません。
ただ、不用品回収業者に依頼する場合、処分してもいいと分かっているものを回収してもらうだけなら費用が安く抑えられますので検討してみてもいいでしょう。
特殊清掃とは
特殊清掃とは故人が孤独死や事件、事故などで亡くなった場合に特殊な薬品を使って部屋の清掃を行うことをいいます。
特別な事情がなくても、長く寝たきりだったりした場合臭いや汚れが簡単に落とせないことも多く、そういった場合には依頼が必要となります。
また最近ではいわゆるゴミ屋敷と呼ばれる家も問題になっていますが、そういった特殊なケースでも特殊清掃を依頼するということが増えています。
原状復帰をしたいが心理的・物理的に中に入ることができない場合に対応をお願いできるのがメリットといえます。
特殊清掃の場合、基本的にはどういった状況の部屋であっても対応はしてもらえますが、対象となるのは部屋の清掃となるためその場に残されている遺品の整理まではしてもらえません。
清掃をして部屋を原状復帰させることが目的なので、血液や体液がついた物品については確認せず処分が優先されます。
そのため清掃時に貴重品があったとしても判別ができないものは処分されてしまうことを前提に依頼する必要があります。
遺品整理業者には特殊清掃は業務外としていることも多いため、簡単な清掃しかしてもらえないことがほとんどです。
故人の家を売却する、もしくは親族の誰かが住まいとすることを考えている場合には特殊清掃を依頼する必要があるといえます。
遺品整理と特殊清掃の違い
《遺品整理と特殊清掃の業者比較》
遺品整理 | 特殊清掃 | |
---|---|---|
作業対象 | 遺品のみ | 部屋全体 |
作業 | ・分別・整理がメイン ・清掃はオプション |
・清掃のみ ・特殊な薬品や技術を使って完全な原状 |
期間 | 1日 | 2~3日 |
遺品整理と特殊清掃は、業務の対象となるものと作業時間に大きな違いがあります。
遺品整理は遺品のみが対象であり基本的には清掃には対応しません。
一方の特殊清掃の場合は遺品のある部屋全体が対象となっています。
ただし遺品の取り扱いについては業者ごとに違いがあり、分別や整理までは対応してもらえません。
また汚損してしまったものについては掃除の過程で処分されてしまう可能性も高いため、それを了承した上で作業をしてもらう必要があります。
また遺品整理は早ければ1日で作業が終わることがほとんどですが、特殊清掃は完全に原状復帰をするため特殊な薬品や技術を使い、数日作業にかかることもあります。
そのため特殊清掃は費用が高くなる傾向にあります。
手段ごとのおすすめタイミング
これから遺品整理や生前整理をしようと考えているなら、どのタイミングで始めた方がいいのか考えておく必要があります。
ここでは先ほどご紹介した4つについて適切なタイミングを詳しくご紹介します。
1.遺品整理をするなら
亡くなった家族の遺品整理をするなら、葬儀の後一段落したタイミングがおすすめです。
賃貸など時間が限られている場合は別ですが、遺産相続のタイミングも考えながらまとまった時間を取って対応するといいでしょう。
ただし自分で遺品整理をするとなると時間も手間もかかります。
専門の遺品整理業者に依頼すれば、費用はかかりますが納得のいく遺品整理が可能です。
2.生前整理をするなら
まだ自分が元気なうちに身の回りの整理をしたいと考えているなら、生前整理を考えてみましょう。
タイミングとしては引っ越しがおすすめですが、体力的なことを考えると年齢の節目に取りかかることをおすすめします。
生前整理では自分の財産も再確認し、相続のことで不安がある場合には専門家のアドバイスをあおぐことも考えておきましょう。
3.不用品回収をするなら
自分の身の回りの整理を考えているなら、生前整理と共に不用品回収も考えておきましょう。
不用品の分別だけでなく部屋から出して処分するのは大変です。
不用品回収を依頼すれば、分別方法が分からなくても自分で対応せずに済みます。
また業者によってはリサイクル可能な物や買取をしてくれることもありますので、費用をいくらかまかなうことも可能です。
4.特殊清掃をするなら
孤独死等で部屋に入ることが難しい場合には特殊清掃を依頼しましょう。
またゴミをため込んでいる場合にも特殊清掃を依頼することができます。
部屋が荒れた状態では遺品整理も思うようにはできません。なるべく早いタイミングで依頼することを考えましょう。
遺品整理では特殊清掃が必要となることがほとんどです。
遺品整理を業者に依頼することを考えているなら、特殊清掃にも対応している業者を選ぶといいでしょう。
信頼できる業者に依頼するのがおすすめ
遺品整理や生前整理は、実施するタイミングに違いはありますがしなければいけない遺品整理と違い、生前整理は自分で実施するタイミングを選ぶことが可能です。
しかしながらどちらの場合も大量の物を相手にしなければならず精神的にも体力的にも大きな負担がかかります。
また取り扱う品物には金銭的価値の高いものも含まれるため、取り扱いには注意が必要です。
メイドマンでは遺品整理士が在籍しており、お客様の心に添った遺品整理をさせていただいております。
遺品整理をお考えでしたらぜひメイドマンにお問合せ・ご相談ください。